送別会
同い歳の女の子が、会社を辞めるような気がしている。
気がしている、というのは、実際にそのような話を聞いたのではなく、上司の言葉や更新されていく資料の端々からそれを感じ取っているに過ぎないからだ。
しかし、これは結構な問題。
私は「送別会」が大の苦手なのだ。
歓迎会は、入ってくる者も迎える者も、適度な緊張感があっていい。
それに、社会人3年目ともなれば、入るよりも迎えることの方が多く、多少心の余裕を持つことができる。
しかし、送別会は、「最後にみんなで話して楽しもう!」という雰囲気や言葉がけを要求され、最後は誰かが酔っぱらって泣いたりする。
考えるだけで、今から気が滅入ってしまう。
誤解のないようにだけ記しておくと、私はお酒の場が嫌いなわけではない。
むしろ親しい人との酒席は、それを思うだけで朝はきちんと起きられるし、翌日まで楽しい気分にさせてくれる。
だが、「送別会」は私には難攻不落、目下そびえ立つ壁である。
仕事上のみの付き合いの人間に、「次の職場でもがんばってね」なんて、どうしたら笑顔で吐かすことなどできるのか。
「仕事を変える」という、人生でもそこそこ重大な決断をした人間に、明日からものうのうと同じデスクに居座る私が、「がんばれ」なんて言ったところで、何も響かないし心の中で失笑されるだけじゃないか!と怖くなってしまうのだ。
一度、送別会に誘ってくれた先輩に、「どうやって振る舞えばいいのか分からないから行きたくない」と正直に言ったことがある。
すると、先輩は一瞬、「怪訝」という言葉がピッタリ!な表情をして、それから「考え過ぎじゃない?」と一言だけ言った。
社会人3年目。送別会に対する解はいまだ出ていない。