山村紅葉
山村紅葉が好きだ。
紅葉の同僚は、よく殺人事件に遭遇して、警察でもないのに首を突っ込み、最終的には海岸の崖の上まで犯人を追いつめている。
逮捕に一役買っているのにも関わらず、警察からは妬まれているのか、快く思われていない。
もし、わたしの同僚がそんな人だったら、あまりお近づきにはなりたくないが、紅葉はベタベタするわけでも、あからさまに嫌うでもなく、ちょうどいい距離感を保っている。
それは、相手が市原悦子になろうが、船越英一郎になろうが、かたせ梨乃になろうが変わらない。
紅葉のコミュニケーション能力は目を見張るものがある。
しかし、紅葉はいつも脇役だ。
こんなに貢献しているのだから、もうそろそろ紅葉が主役でもいいんじゃないか。
スピンオフでもいい。踊る大走査線だって、相棒だってやっている。
紅葉が主役になったら、どんな内容になるだろう。
紅葉が崖まで犯人を追いつめるのか。
いや、崖まで行ってしまうと、船越かかたせの出現を心待ちにしてしまう。
かと言って、犯人の家だと、市原悦子の方がしっくりきてしまう。
市原と船越とかたせが犯人を追っかけている間、紅葉は何をやっているのだろうか。
それは簡単に想像がつく。
饅頭を食らいながら、大村崑と事務所で仲良くやっているのだろう。
紅葉は自分も犯人を捕まえてみたいと思うことはないのだろうか。
新聞社に入っても、葬儀屋になっても、殺人事件が絶えない。
名探偵コナンばりの遭遇率。
コナンなら嬉々として犯人を捜すのに、紅葉の場合は、殺人事件とセットで、犯人捜し大好きな主人公がついてくる。
主人公は、紅葉を「ただの同僚」くらいにしか思っていないかもしれないが、殺人事件については、紅葉の方がベテランであり、紅葉が必要以上に詮索をしないから、主人公は好きなように犯人を捜すことができる。
実際は、市原も船越もかたせも紅葉に泳がされているのだ。
山村紅葉、したたかな女。