公園通り
居酒屋を出る。時計は見なかった。きみにも聞かれなかった。黙って仕掛ける「終電逃しちゃった!」
センター街には怖そうな人がたくさんいるし、道玄坂はいかにも過ぎるから、「どこ行くの?」と言われながら公園通りへ出る。
誰一人歩いていない。
「よーい、ドン!」で駆け出した。
右手にあるマルイも、少し先にあるパルコも、独り占め。
月明かりと、少しの街灯だけで照らされた渋谷。
昼間より健全な空気を浴びながら、全力で走る。
スターバックスの前で、きみに捕まって怒られた。
と、思ったらきみは走り出した。
追いかける。
追いかける。
男の子の足はやっぱり速いな。
でも、そのままインドまで行ってしまうとは、まさか思わなかった。