文庫本になる夢を見た
己が文庫本になる、というエキセントリックな夢を見た。
それも、自分の体と文庫本が合体している「文庫本マン」みたいな類いではなく、
文庫本の中に自分の精神が組み込まれている(つまりわたしという人間は存在しない)という、ハイパーエキセントリックぶり。
目を覚ましてから1時間くらい、自分が人間なのか紙なのかもよく分からない、まるでア○ナカ感を出しつつ、とりあえず出社。
ただ、今後、文庫本になるなんていう奇特な経験はきっとできないと思うので、
記念に詩作してみた。ちょっと大人なやつ。
今こうしている間にも、文庫本だった時のペラペラした感覚や、自分もまわりも人間と信じられない不思議な気持ちが、するすると自分から離れていってしまうのがさみしい。
『夜と文庫本』
貴方の皮膚はページの厚さ
貴方の骨はページの重み
貴方の指を流れる赤で
文字を刻んでいきましょう
ささやく言葉
漏れる息
少しずつ夢から醒める
貴方とわたしに記すものなど
知られてはいけない記憶と事実
貴方とわたしは人間どうし
暗闇の中で落とす口づけ