つかもとブログ

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就職しないで生きるには

 

あしたから出版社 (就職しないで生きるには21)

あしたから出版社 (就職しないで生きるには21)

 

昨日、神保町の東○堂書店に行ったら、「ひとり出版社」というフェアをやっていた。

おそらくその目玉になっているのが、「就職しないで生きるには」シリーズ『あしたから出版社』の夏葉社・島田さんのこの本。

 

このシリーズの本の評判は方々で見聞きしていたので、上の2冊を手に取りつつ見ていたら、

隣にいた初老の男性に、

「この本がね、いいんですよ」

と話しかけられた。

 

本のすごいところは、いとも簡単に、性別と年齢を超えてくるところだと思う。

それは音楽にも通ずることだけど、こういう出会いは嬉しい。

自分の気になったものを「いいよ」と言ってもらったり、

実際に良いと思っているものに共感してもらえることは、

自分自身がほめられた時よりも嬉しくて、誇らしい気分になる。

 

 

心がルンルンしたので、そのままの勢いで『偶然の装丁家』を購入。(しかも著者サイン入り)

偶然の装丁家 (就職しないで生きるには)

偶然の装丁家 (就職しないで生きるには)

 

これがお薦めされた通り面白い。

 

わたしが就活をしていたのは、就職氷河期と言われていた頃。

わたし自身も4年生の秋まで就活していたし、

50社以上落ちてどこからも必要とされてないんだって落ち込んだし、

どこで働くとか、何をしたいとか、そんなこと言っていられなくなって、

とにかく「内定をもらう」ってことが目標になってしまった。

いま考えたら、そんなに気張らなくても良かったかな、とは思うけれど、

当時はとにかく社会に受け入れてもらえないことが不安で仕方がなかった。

 

今までの人生が、頑張った分だけとんとんといっている人には必要ないと思うけれど、

自らを”はずれ者”だと自覚している人には、心が軽くなる本なんじゃないかと。

 

わたしも会社に入ったところで、結局”はずれ者”のポジションは変わらなかったし、

もうそれでもいっかー(笑)と諦めた。

ゆるやかに頑張って、できることをすこしずつ増やしていく。

周りにいてくれる人を大切にして、すこしずつ、一緒にいて安心できる輪を広げていく。深くしていく。

そういうことを考えさせてくれる本だと思った。

 

 

本は、「こうした方がいいよ!」とか「それはダメだよ!」とか、口うるさく言ってくることもなく、

ただ、「こういうのも良いんじゃない?」と佇んでいてくれるから好き。

もっと本と友達になりたい。