迷彩
迷彩柄の服を着ていたあなた、お元気ですか。
わたしは25年生きていますが、迷彩柄を着こなす自信がありません。
だから、手に取ることなく過ごしてまいりました。
あなたのお姿は、わたしからはもう見えません。
その服とおなじ、迷彩柄に隠れてしまいました。
どちらにいらっしゃるかは存じ上げております。
電話番号もわたしの手元の小さな機械に残っております。
けれども、すこし背中を丸めて立ち、笑い、文句を言い、おそらく優しさとしか言えない情をもちながら、
お互いに触れ合うことはもうないでしょう。
あなたはそれで満足ですか。
わたしは、ぜんぜん満足していません。
しかし、その気持ちは、今から袖を通す、この迷彩柄の服に隠して、生きていきましょう。