百瀬、こっちを向いて。
昨晩観た「百瀬、こっちを向いて。」が素晴らしかったです。
早見あかりさん美しかった。
(どうでもいいけど、いつも「百瀬、部活やめるってよ」とタイトルを間違える…朝井リョウ先生にお熱な所為)
以下、感想。ネタバレないように気をつけます。
自分の好きな人に、好きな人がいて、その好きな人のことも自分はとてもいい人だと思っている
という、状況としてはとても苦しいけれど、
誰も悪いわけではない、ゆえに誰かを恨むこともできないもどかしさが、
時間が進むにつれて濃くなっていくという展開。
何がいいかって、まず「共感性」が高いんです。
普通に好きな人ができたり、反対に人から「好きだ」と言われたことがあれば、
百瀬、相原くん、宮崎先輩、神林先輩の4人のうちの誰かの気持ちは分かると思う。
「恋愛」には、「愛情」とか「友情」とか「快楽」とか「嫉妬」とか「束縛」とかいろんな感情が入っていて、
たぶん私たちは、いろんな恋愛を経験していく中で、多幸を手に入れたり、大怪我をしたりして、その中身や比率をコントロールできるようになっていくんだと思う。
「百瀬〜」は、その誰もが経験する、恋愛の第一歩を描いているから、共感できるし、昔を思い出して懐かしむことができる。
それが如実に出ている場面はいくつもあるんですが、特に印象に残っているのは、
百瀬が「わたしは一生、(宮崎先輩が好きという)この思いにとらわれて生きていくんだ」って言っているシーン。
わたしも高校生の頃はそう思っていたなーと。
今好きな人とずっと付き合って結婚して幸せになるんだ、と。
百瀬、そんなことはないよ。
もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対、ってやつよ。
あと、4人全員が”良い人”だということに救われました。
終盤まで「宮崎先輩サイテーだな」と思っていたけれど、彼には人としての愛がある。
そうじゃなかったら、「殴れ」なんて言えないし、手紙なんて書けない。
ちょっと話は飛ぶけれど、
わたしが今まで読んだ本や、漫画や、映画でも、
こと恋愛に関するもののテーマは、突き詰めれば
「快楽を優先させた恋愛は身を滅ぼすだけ」
という解に結びつけられると思う。
それでも現実にはセックスのみで繋がっているような男女関係もあったりして、とても不思議です。
動物として繋がっていることの不快感というか…潔癖なだけかもしれないけど。
わたしはそういう人たちのことを、どうしても悪人だと思ってしまうのだけど、
「百瀬〜」にはそういう人がいなかった。だから心穏やかに観られました。
本能じゃなくて、打算的じゃなくて、「百瀬〜」みたいに、感情に素直な恋ができたら素敵だなああああああ。