わたしの東京百景
いろんな人に吹いてまわっているのだが、
お正月にミャンマーに行こうと思っている。
そこで、最近読み返しているのがこの本。
ピース又吉さんの『東京百景』
タイトルの通り、又吉さんが東京で見て、触れて、体験してきた出来事を、
街ごとに書いてあるエッセイ。
人の記憶は、五感のうち嗅覚によって1番思い出されるというけれど、
街にはそれぞれ匂いがあって、
その土地土地に辿り着くたびに、人間はふわっと色々なことを思い出す、
んじゃないかとわたしは思う。
八幡山の匂いは、好き。
歌舞伎町の匂いは、嫌いじゃない。
下北沢の匂いは、嫌い、できることなら嗅ぎたくない。
上京してきた当初は、田舎者よろしく、
いろんな街を、用も無くあても無く散歩した。
そして、嗅覚は、年齢とともに少しずつ鈍っているように思う。
だから、世界に飛び出したら、きっと記憶の引き出しにない、
新しい匂いが飛びこんでくるんじゃないだろうか。
そんな期待が、ソワソワと、渦巻いたりする。
・・・って、こういう女が突然バックパッカーとかになって、
30過ぎて日本に帰ってきて、
「わたしは世界を知っているのよ」みたいな大きな顔して(いや、そうなんだけど、なんか鼻につく感じのやつ!)
雑誌にコラムとか書くんだろうな!
やだやだ、やんなっちゃうよ、ほんと。
しかし、又吉さんの『東京百景』は、
そういう薄汚い野心の塊人間の心にさえ、そっと寄り添ってくれるような、
居酒屋で紅芋タルト頼んだら、横にアイスついてた時のような、
期待できない日常を少しだけ幸せにしてくれる、そんなエッセイです。お薦め。